生産緑地・市街化調整区域の活用法
生産緑地編
Point1 生産緑地とは何ですか?
生産緑地法によって当初昭和49年に緑地機能の優れた農地等を計画的に守っていく為に(旧法)定められました。その後平成3年に生産緑地法の改正(現法)市街化区域の発展による住宅供給が急速に進むことから農地等を守る事と良好な生活環境の確保や公害・災害の防止に役立てるとともに指定を受けた場合には固定資産税が宅地の数百分の1に優遇され営農農家さんが農地を維持し易くなる制度です。
しかし優遇の反面指定を受けると農地としての土地利用が都市計画上明確に位置づけられることになり敷地の中には生産緑地である標識が打たれ農地以外の利用は出来なくなります。平成4年の指定から原則30年間(平成34年まで)解除が出来ませんし、その土地を他人へ売ることができません。
Point2 生産緑地は途中解除がみとめられるケースがあります!
原則解除が認められていませんが、解除が認められるケースは3つあります
①30年間の期間満了による自動解除。
今から6年後には期間満了するのですが、市役所の都市計画課や農林課に具体的な質問をしてみても、国からの通達などの詳しい指導が無いそうでどういった手続きを要するのか言ってもらえません。指定した期間が満了するのですから当然解除でしょう。
②所有者本人の死亡による解除。
農地を一生懸命耕していたご本人が亡くなってしまった場合の生産緑地は通常奥様や子供さんなどの相続人が遺産分割協議を行い相続登記されます。その農地を手に入れた相続人は生産緑地としてご本人の意思を継ぎ耕すか生産緑地を解除するかを決めることが出来ます。
③所有者本人の故障による解除。
本人の故障とは、不幸にもご本人が病気などで健康を害し畑を耕すことが不可能になってしまい、医師の診断書があり病院の証明書の提出、且つ当該市長が認めた場合には解除することが出来ます。青梅市によると農業に従事することを不可能とさせる故障とは以下の様です。
両眼の失明、精神の著しい障害、神経系統の機能の著しい障害、胸腹部臓器の機能の著しい障害、上下肢の全部もしくは一部の喪失またはその機能の著しい障害、両手、両足の指の全部もしくは一部の喪失またはその機能の著しい障害、その他これに準ずる障害のほか、1年以上の期間を要する入院、養護老人ホームや特別養護老人ホームへの入所、著しい高齢となり営農が続けられなくなった場合等と定義されています。
これが認められた場合に優遇された税金を遡って支払う事はありません。
Point3 注意!すぐに解除され自由にはなりません。
上記②③の手続きで注意いただきたいのは、死亡や故障が認められてすぐに自由に建築や・不動産売却をする事が出来ません。
上記③による場合の手続き開始から他人への売買や開発許可申請・建築の流れをご覧ください。
お客様自身でも申請はできますが必要書類や手続きは経験豊富な
Point4 最重要Pointです。必ずお読みください!
市街化調整区域編
Point1 市街化調整区域とは何ですか?
私たちが住む街には行政が定めた都市計画があり、下記4つに分けられます。
(1)市街化区域
すでに市街地を形成している区域および概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。
(2)市街化調整区域
市街化を抑制すべき区域ですので、原則建物の建築が認められません。但し昭和45年12月26日の区域区分施行日以前から住まわれていた場合や一定基準を満たした場合には既存宅地許可により建てられる場合がある。
(3)未線引区域
市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない区域。
(4)都市計画区域外
Point2 市街化調整区域でも建てられる場合がありますが許可を要します。
市街化調整区域にある土地を利用する場合に2通りの手続きが考えられますが下記チャートを参考になさって下さい。
(基準を満たさない場合には建築は出来ません)
●対象となるのは、以下のいずれかが確認できる建築物
a)区域区分日以前の建築物
b)区域区分日以後の適法建築物
○土地・家屋の謄本
○土地・家屋の評価証明
○建築確認書
○43条許可書 等で確認
●建築敷地は、aについては区域区分日、bについてはその許可日 における敷地内であること。
●建築物の用途に変更のないこと
●bについては権利移動のないこと(ただし、"既存宅地確認"もしくは"既存宅地の建築許可"を受けている場合と、相続は除く)
●建築物の規模
①建て替え後の延べ面積について(附属建築物を除く)
・180m2以下 もしくは
・既存建築物(附属建築物を除く)の区域区分時もしくは許可時の延べ面積の1.5倍以下
②建ぺい率/容積率について(附属建築物を含む)用途地域の指定によるが、無指定の場合は建ぺい率40%(角地割増あり)、容積率80%
区域区分施行日 S45年12月26日
●土地の要件
①区域区分日前から現在まで宅地であることが確認できること
○土地の謄本
○地目が宅地でない場合、土地のS46年度と現在の評価証明
上記以外には、2つ以上の証明できる資料
例:建築確認書、農転許可書、航空写真
●立地要件
②50戸連たんを満たすこと
●その他
③建築基準法の道路に接していること
④境界が明確であること(筆の一部は不可、分筆を要する)
⑤雨水処理施設を設置すること
●予定建築物の要件
①建ぺい率/容積率について
用途地域の指定によるが、無指定の場合は建ぺい率40%(角地割増あり)、容積率80%
②予定建築物の用途
用途地域の指定によるが、無指定の場合は第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物
調査や申請手続きは経験豊富な
ここで当社が行った市街化調整区域内での許可実例をご紹介します。
ケース1
昭和59年に土地建物を購入してから約12年間、駅徒歩7分に位置する市街化区域内に家族で暮らしておられましたが、建設省による首都圏中央連絡道路(圏央道)用地買収の対象になり、立ち退きを余儀なくされました。
平成10年当時は土地値も高く、市街化区域内には同規模で予算も含めた希望条件に合う物件見付からず(財)東京都新都市建築公社のアドバイスを受け、公共事業代替地の特例により市街化調整区域に都市計画法第43条第1項許可を取り、建築確認を取得し住宅を建築し引越しを完了しました。
それから16年後の現在、息子さんや娘さんが相続して住むのではなく、第三者に売却を行いたいという事になりました。
市街化調整区域にある物件ですが『公共事業に協力したのですから問題ない』ように思いますが大問題なのです。相続で奥様や子供に譲る場合を除き、本人以外の第三者からの申請では建築確認は下りず建て替えが出来ない土地にもどってしまうのです。住宅ローンも融資不可能です。なぜなら当該個人に専属的に許可された建築許可だからなのです。
当社のアドバイスとしては東京都都市整備局にある基準(I)を申請する事を提案しました。
『基準( I ) 市街化調整区域内の用途変更(所有権の移転)』
都市計画法第29条もしくは第43条の許可を受けて建築された個人専用住宅(当該個人に専属的に許可したものに限る)または第29条第1項第2項により許可不要で建築された農林漁業用の個人住宅で、やむを得ない事情による用途変更。
これにはいくつかクリアしなければならない条件があります。
先ず第1に当該敷地は当初許可を受けた敷地と同一であり、当該建築物は個人専用住宅であり当初許可を受けた者は、建築確認も受けている事。近年では建築する際に無許可で建築する事は考えづらく(ケース1)案件もクリアです。
第2に下記(1)〜(5)のいづれかに該当する事。
(1)生計維持者の死亡によりやむを得なく住宅を手放さなければならない場合。
(2)許可後に概ね片道3時間を超えるような遠隔地への転勤。
(3)破産・競売あるいは多額の負債等の経済的事情。
(4)当初許可を受けた者が5年以上適正利用し、高齢化の事情による場合。
(5)当該建築物が建築後20年以上経過している建築物であること。
(ケース1)では(4)に該当していました。当初許可を受けた者と、その妻が16年以上住んでおり年齢も80歳を超え互いに、施設の入所や病気治療で入院しなければならず、その費用の確保で売却するのです。
この内容を、東京都多摩建築指導課 開発指導第一課 当該市町村担当者へ事前相談の上本人申請または購入予定者による申請を行います。申請のあった案件については担当者が現場確認後、開発指導第一課内部にて上席を交えた協議の結果、見通しが担当者から告げられます(仮決済)実際に許可が与えられるのは、2ヶ月に一度開催される「東京都開発審査会」に於いて否決されることなく許可されなければなりません。開発指導第一課の話では、審査会に上げた際に否決されない案件しか課内で仮決済しない考えで決済しているので、後の正式書類の提出及び受付が済めば審査会を経て許可取得が出来るそうです。
この様な手順をふみ『基準(I)』による許可証が交付されますと第三者へ売却をした後に建物の建替申請する場合、市街化調整区域ではありますが、許可証さえ保管されていれば近隣の市街化区域の第一種低層住居専用地域と変わらない使用が永久に出来ます。これなら金融機関の住宅ローンも融資可能となります。全てが認められるという事ではありませんが、当社には経験と実績があります。